2011年夏コミで『Config. Vol.2』を販売します!

『Config. Vol.2』 特集「火星」
 ◇コミックマーケット80・3日目(8月14日)
 ◇東地区“P”ブロック-03b (http://bit.ly/p2UmWX
 ◇A5 120頁/800円
  (既刊『Config. Vol.1 ― INTEGRAL』は500円、セットで1200円にて販売)

■目次
 ○Part1 Fictional Mars
  ☆火星作品マップ☆
  【Area 1】MIGRATION
   《コラム》火星のタイム・スリップ、スター・レッド、キャプテンKen、機動戦艦ナデシコ
   《インタビュー》『機動戦艦ナデシコ
            ・會川昇(ストーリーエディター)
            ・堺三保(SF考証)
            ・佐藤竜雄(監督)
  【Area 2】APOPTOSIS
   《コラム》異星の客、火星先人史、トータル・リコール
   《小論》『AQUA/ARIA』 _ 長野誠一郎
  【Area 3】RUIN
   《コラム》マーズ・アタック! 、宇宙戦争カプリコン・1、
        マブラヴ オルタネイティヴ、ドーン、魔法先生ネギま!
   《インタビュー》平野啓一郎(『ドーン』)
   《メールインタビュー》赤松健(『魔法先生ネギま!』)
  【Area 4】SANCTUARY
   《コラム》火星のプリンセスアンドロイドは電気羊の夢を見るか?
        ホログラム、「クリュセの魚」シリーズ
   《インタビュー》東浩紀(「クリュセの魚」シリーズ)
   《小論》『パイパー』 _ 廣瀬暁春
  ★火星時評★

 ○Part2 Literary Mars
   《師弟対談》Cowboys on Mars の系譜 _ 巽孝之×碓氷早矢手
   《特別寄稿》火星SFの二つの顔 _ 大森望
 
 ○Part3 Scientific Mars
   《インタビュー》山下雅道(JAXA宇宙科学研究所・宇宙農業)
   《インタビュー》宮本英昭(東大総合研究博物館・惑星科学)

 ○Part4 Essays on Mars
   《論考》「風景」、再び。 _ 山粼悠司
   《論考》Mars / Transparency / Infrastructure _ 西川泰海
   《論考》火星の沈黙 _ 岡村康太郎
   《論考》火星とセンチメント _ 入江哲朗


■内容紹介
『Config. Vol.2』はソシオグラフィ研究会(代表:入江哲朗@t_irie)が発行するミニコミ誌『Config.』の第2号となります。創刊号は2010年8月のコミックマーケット78で頒布され、小島秀夫監督によるゲーム「メタルギアソリッド」シリーズを特集しました。同年12月のC79では、その増補改訂版にあたる『Config. Vol.1 ― INTEGRAL』、そして別冊となるコピー誌『アーキテクチャの性体験』を発表し、とく後者は幻の名著(!?)として一部の界隈で熱がこもった賞賛を賜りました…。

2011年8月、私たちが満を持して発表する『Config. Vol.2』の特集テーマは、「火星」です。

なぜ火星なのか? 誰しも頭上にはてなが踊ると思いますが、ガチで「火星」なのです。ここ最近は、火星の液体の水が流れている痕跡を発見したとNASAが発表したこともあり、そこそこ話題にはなっていますが、当然ながらこの特集テーマを決めた春頃は、唐突にふってきたアイデアにすぎませんでした。3.11の震災以降、私たちはこの夏に出す同人誌のテーマ設定に考えあぐねていました。そこにはやはり、どこか「コンテンツ批評」は空しいなという思いがあり、かといって地に足つけようと私たちが社会設計などをいまさら語ったところであまりに夢がない。そうです。このような厳しい状況だからこそ、「ロマン」を見つけ出したい。私たちがいま「ロマン」を託すべき対象はなにかを考えました。こうして出した結論が、「火星」です。

火星はフロンティアです。この地に人類は、あらゆる夢を思い描いてきました。しかし、同時に火星は厳しい環境そのもののディストピアでもあります。人類のロマンをすべてはねのけるように、荒れ果てた大地をむき出しにして火星はたたずんでいます。しかし、そのような二面性をみせるからこそ、私たちを魅了し、SFを中心として多くの想像力を育んできました。もちろんそれは、先の震災で多くの打撃を負った日本社会においてどのような未来を描き出すべきなのか、この不毛の大地に寄せられたイマジネーションの数々にそのヒントを見つけ出そうという試みでもあります。

私たちはいまこの特集に、揺るぎない確信を抱いています。その私たちの回答は、是非お買い上げのうえ誌面で確かめていただきたいと思います。

今回は、前号に比べて、より多くの方々に誌面へご登場いただきました。

機動戦艦ナデシコに関しては、ストーリーエディターの會川昇さん、SF考証の堺三保さん、監督の佐藤竜雄さん、と超豪華で完全版とも言える内容になっています。というか、お三方からお話をうかがって、ようやく「ナデシコとはなんだったのか」という疑問の答えが、立体的な像を結べたと思います。もし一人でも欠けていたら、本当によく分かんなかったと思います(笑)。むしろ、その三人に聞いてようやく分かるということこそが、『ナデシコ』という奇跡の化学反応によって生まれた作品の性格をよくあらわしています。決して安産とは言えない経緯をもつこの作品が、ばらばらなベクトルの才能を結実させることができたワケとは、このインタビューによって明らかに! マジで『ナデシコ』ファンは買わないと駄目だと思います(笑)。

米文学研究者の第一人者でSF評論家の顔もおもちの巽孝之先生と、かつて慶應文学部巽ゼミの学生であった碓氷早矢手さんが思い出と未来を語り合う、「師弟対談」という一風変わった企画もあります。巽先生はともかく碓氷さんをご存じない読者の方も多いと思います。碓氷さんは、
『Cowboys on Mars―フロンティア・ナラティヴの火星文学史』(http://bit.ly/ovL8Ux
という卒論を、巽ゼミで95年に提出されました。この論文をたまたまネット上で見つけた私たちは、その論文の着眼点と完成度に驚くとともに、「碓氷早矢手」と格好良すぎる名前が気になってGoogle検索をしてみました。すると、なんと碓氷さんのWikipediaの項目があり、そこには出版社の社員であるとともに、総合格闘技修斗」のプロ選手(しかも、世界チャンプとの対戦歴まであり!)だと記されてるではないか!こんな変わった経歴のひとに是非とも直接お会いしたい。もし可能ならば、巽先生との師弟対談によって、この論文の続編を垣間見ることはできないだろうか。そのような思いからお二方に声をかけ、この企画が実現しました。

今回は寄稿もあります! もったいなくも、SF評論家・翻訳家の大森望さんにエッセイ(というか論考です!)をお寄せいただきました。「火星SFの二つの顔」と題された文章は、火星SFの名著たちをリアル系と幻想系と華麗に分類し、かつてのSF作家たちが火星に期待した思いをひもといていきます。

さらに、火星といえば、もちろん科学の面でもかねてよりロマンを向けられる分野でもあります。そこで今回は、JAXA宇宙科学研究所で宇宙農業を研究されている山下雅道先生と、東大総合研究博物館で個体惑星科学を研究されている宮本英昭先生にお話をうかがいに行きました。山下先生はご専門を宇宙農業だとお聞きしていたのですが、その科学者としてのスケールの大きさに私たちは完全に打ちのめされてしまいました。さらに、宮本先生のインタビューも、かつて先生が「博打うちの高校生」だった生い立ちからはじまる、大変アツい展開となっています。先生が火星研究を「ウソカラデタマコト」と考えるその理由を語るところは、マジで感動的です。

他にも、平野啓一郎さん、赤松健さん、東浩紀さん、にもお話をうかがいました。お三方は共通に近作が「火星SF」となっており、なぜ物語の舞台に火星をお選びになったのか中心に色々と聞いております。(実は、ネギま!?の魔法世界の正体は火星だったのです! )どれも非常に濃い内容のインタビューとなっておりますので、必見です。

さいごに論考は、
 山粼の村上春樹論(デレク・ハートフィールドの代表作は『火星の井戸』)
 西川のSF的想像力と建築、さらにネットを結びつける野心作
 岡村のスピルバーグが火星を語りたがらない理由
 入江のブラッドベリの『火星年代記』にリチャード・ローティの米国論を重ね合わせた考察
となっています。

今回も、120ページで800円と、お値段を抑えました。どなたもお気軽に是非お手にとってください!コミケ3日目、東P-03bにてお待ちしてます!!


■誌面サンプル



▽▽▽
Config. Vol.2
2011年8月14日発売

発行
 ソシオグラフィ研究会
責任編集
 入江哲朗+柴田洋
執筆・編集
 入江哲朗、柴田洋、岡村康太郎、山粼悠司、
 西川泰海、宮沢克典、長野誠一郎、
 廣瀬暁春、寺内暁
illustration
 ちゃもーい
DTP & design
 廣瀬暁春、寺内暁
印刷
 株式会社緑陽社
△△△